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金貸し業の銀行が貸し渋っても儲けるのは何故?

20021028

宇佐美 保

 お金を貸して儲ける銀行が、貸し渋っていて何故儲けるのか不思議ですよね。

先日は、中小企業の社長の友人が“銀行が融資してくれないから、仕方なく銀行のリボルビングカードを使って、金利15%の金を利用しているんだ。”と言っていました。

正規の融資を行わず、貸し渋りと言われても平気で、国民の利率0%同然の預金と、税金である公的資金融資を用いて、こんな商売をしていて許されるのでしょうか?

 

 アメリカが日本の銀行にイチャモンをつけるのは許せないとマスコミは喚きますけれど、1999年のインターネットに次のような記述がありました。

徒然はるさん 99/10/14 前TV(2)http://www.nda.co.jp/tsurezure/991014.html - 18k

銀行が 国内顧客から預かった預金を、国内企業や個人に貸しつけ、その利ざやで食ってると思ったら 大間違いである。
まず日銀からタダ同然の金利で カネを借りる。そして、外国の支店で、現地の儲かってる外国の企業に貸しつけて、その利ざやで食っているのが、今の日本の銀行だ

だって、回収の見込みは日本より高いし・金利も高いから 丸儲け・あったりまえじゃん。

たとえば、アメリカは 大好況!アメリカ国債は6%を超えた。
当然、アメリカの銀行は、国債以上の金利で 企業に融資しないとバカバカしい。だいたい8%以上の金利で貸し付けを行っている。

そこに、タダみたいな金利で日銀から貸付を受けた日本の銀行が、べらぼーに安い金利で アメリカ企業に融資を行うわけである。

そりゃ アメリカの企業はとびつくわな。

4%で日本の銀行からカネ借りて、アメリカ国債を買えば、財産なしで まるまる2〜4%の利ざやが出る。

いいか?元手なしで、である。

アメリカ合衆国を 日本の「円」が 荒らしまくっているわけだ。

日本の銀行が、直接、アメリカ国債を買わないところが ミソだ。

その国の個人に貸しつける事で、その国の銀行を弱体化させることができるからである。

当然、アメリカの銀行もだまっちゃいない。
被害者は アメリカだけではない。イギリス・ドイツ・フランスも「円」に荒らされまくってる。

荒らして得た利益は まるまる日本の銀行に入ってくる。

サミットで 諸外国に「日本の内需拡大」を叫ばれ、袋叩きに遭うのはそういう理由だ。

 若しこのことが事実なら、アメリカや諸外国は、“国際業務を行うなら、BIS国際規格を、国際的な基準のもとで守れ”と抗議するのは当たり前ではありませんか!?

 

この意味からも、JFK銀行の寺西正司頭取の「サッカーの最中に、突然『アメリカンフットボールなんだ』と言われると困惑する」との発言は、戯言でしかないわけです。

しかし、サッカーには「オフサイド」の国際ルールがあります。

ところが、「日本の銀行サッカー界」は、“「繰り延べ税金資産」を国際基準から逸脱して自己資本への組み入れる”という恰も、「オフサイド・ルール」無視の如き基準を日本だけ拡大適用しているわけです。

 でもこんな「草サッカー・ルール」でも、日本の銀行が日本国内だけで営業活動している分には、アメリカから、世界から非難される筋合いはないでしょう。

しかし、「オフサイド・ルール」を遵守している国際舞台に、「オフサイド・ルールの無視を正当化するチーム」が殴りこんできたら、公正な試合は成立しないでしょう。

 

 だとしたら、「アメリカや世界の銀行サッカー界」は、「日本の銀行サッカー界」に、“「オフサイド・ルール」を守れ!”と厳重に抗議してくるのは当然ではありませんか!?

 

 更に、銀行の頭取はおかしな発言を続けます。

サンデー毎日(2002.11.10)には、次の記事があります。

みずほフィナンシヤルグループの持ち株会社「みずほホールディングス」の前田晃伸社長はこう発言した。

 「もし、繰り延べ税金資産が認められないならば、みずほ全体で30兆円の資産圧縮か、2兆円の増資をせざるを得ない」

 みずほ銀行とみずほコーポレート銀行の2行で、30兆円もの「資産圧縮」(資産圧縮とは、銀行が取引先企業から貸し剥がしをするということ)を行うというのだ

 可笑しくはありませんか?

「みずほ銀行」は、日本の銀行ではないのですか?それも、日本国民の税金による公的資金を投入された日本の銀行ではないのですか?

国際BIS規格の8%を満足できないなら、日本企業から貸し剥がしをするのではなくて、国際業務から撤退して、国内BIS規格の中で、日本国内の業務に励むことでよいのではないですか?

 何故国際業務に拘って、日本国内の企業に大打撃を与えようとするのですか?

 

 更に、先のサンデー毎日には、次のようにも書かれています。

衆院予算委員会で追及した、五十嵐文彦衆院議員(民主)が憤る。

「たとえば公的資金を注入されたUFJ銀は、経営健全化計画で023月期に中小企業向けに前期比500億円の貸し出しを増やすと政府に約束しながら、逆に25247億円も減らした

何故これらの不条理な銀行の態度をマスコミは糾弾しないのですか?

 

 京セラ名誉会長稲盛和夫氏は、朝日新聞(20021023日「私の視点」)に、(雪印食品、日本ハム、三井物産、東京電力など、日本を代表する企業で不祥事に関連して書かれた文ではありますが、このまますっかり銀行の今回の不祥事に対する文面とも受け取られます)次のように書かれています。

バブル真っ盛りのとき、京セラには営々と蓄積してきた多額の現預金があったために、高騰していた不動産などへの投資を銀行等から勧められた。しかし私は、「欲張ってはならない」というプリミティブな教えに従い、不動産への投資は全く行わなかった。当時は、そんなかたくなな姿勢をアナリストたちから批判されたが、結果としてバブル崩壊の影響を受けず、京セラは成長を続けることができた。

 

 更に、稲盛氏は、次のようにも書かれています。

日本経済を支えているのは企業であり、その中心に位置するのは経営者である。これまで、その経営者の資質として、「才覚」が重んじられてきた。……それだけで評価してはならないと思う。……優れた「才覚」の持ち主であればあるほど、その力をコントロールするものが必要となる。

それがいわゆる「人格」というものであり、…… われわれはすでに子どもの頃に、親や教師から「欲張るな」「騙してはいけない」「嘘をつくな」「正直であれ」というような、最も基本的な親爺を教えられている。そのなかに、「人間としての正しい生き方」はすでに示されているのではないだろうか。……

 実際、先に挙げた企業では、業績に影響を与える事象が生じたときに、「欲張り」、企業の利益を優先した。また、その事実が発覚しそうになったときに、「嘘を言い」、「人を騙し」、事実の隠蔽に走ったのではないだろうか。……

企業統治の危機を脱するために、高度な管理システムを構築しなくてはならないという意見もあるが、私はそれよりも、先ほど述べたような単純なプリミティブな教えを、まずは企業リーダーである経営者、幹部自身が徹底して守り、また社員に守らせるほうがはるかに有効だと考えている

 

 今回のたち価格を暴騰させ、バブルを煽って日本中へ災難を振りまいた銀行幹部は、誰一人その責任を進んで取るどころか、多額の退職金を取ってゆくのですから、日本人は一体どうなってしまったのでしょうか?

 

愚かな経済評論家(森永卓郎氏をはじめ)竹中改革を推し進めたら、日本の銀行はアメリカのハゲタカ・ファンドの餌食となって青い目の社長に支配されるとほざいていますが、恥知らずな日本の銀行幹部のどの点が、青い目の方々より勝っているのですか?

 

 かつて銀行から天下って日産自動車を滅茶苦茶にし、その上、片山豊氏(DATSUNとフェアレディーZでアメリカを席巻し、アメリカの自動車の殿堂入りを果たした)を社史からも抹殺した石原俊氏。

それに対して、その片山氏にフェアレディーZの復活を約束しつつ、日産を再建し、片山氏との約束を果たしたゴーン氏。どちらが日本人の心を打つでしょうか?

 

 国民の税金を投入までして貰っていながら、銀行経営をサッカーやアメリカンフットボールに例えるなど非常識なUFJ頭取をはじめ、日本の銀行幹部達、そして、いんちき経済評論家達は、稲盛氏のお言葉をじっくりと噛み締めるべきだと思います。

そして、稲盛氏の心に恥じて早々に退場して頂きたいものです。

 

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